
たかやという山があって、たかやを越した向こう側に、ぬめりという場所があって、うっとうしいような場所だ。そこに昔、太い大きな蛇がいたそうだ。
たかやに仕事に行っていた人が言う事には、蛇が通っていくとき、どく間がないと、足を広げるしかない。すると、またの間を蛇が行く。

帰りにはたまりとかを百草を売ったお金でかった。

馬車を最初にやった。初めは犬4匹で。

幼年兵でいって7年。一晩中、歩いたら背中から太陽が上がってきて、道が間違っていたことがわかった。太陽が西から出てくるか。丸2日歩いたことになる。ばかなことがあるか。
足が化膿すると、ようちんをとおす。汁が出る。2日ばかりで皮が剥げていく。戦争ではあらかた前線にいた。南方に2年。じしゅうに1年2カ月。

戦争から帰ってきてすぐ、石段をきれいにした。
石は河原から背負ってきた。
景気づけに女たちが酒を飲ませるんだ。ひっくり返ってな。石を背負ったまま。

木が枯れると赤くなってくるわけだ。茶色になる。誰も炭やいとらんが、不思議じゃな。炭焼きでも切りはげ。切ってはげると、そこだけ泥が見えると茶色になってくる。
どの人が言ったかわからんが、飛行機が落ちているという話になった。大人衆から聞いたので、なら、トラスへ見に行こうかとトラス山に見にいったんじゃ。

しょうらいを川へ流す。
渕で遊ぶと骨がごろごろしていた。喉ぼとけだけ入れてあとは捨てていた。

「ごまがら、えがら、さんばからげて、しわ炊いた」といううたがあるでしょ。あれは哀歌、悲しい歌だとわしは言うとる。

恋折峠には百日紅があり、お地蔵さんがある。そこを美束に降りないと、山に入っていってしまう。山はなすび平に続く。現在の道路が出来るまで、美束から中山へは恋折峠を越えた。